もうひとつの地球!!
 
              (大阪弁護士会法曹公正会60周年記念号掲載文)
                     服  部  廣  志   
 
 
そこには、静寂があるのみ。
 
わたしの呼吸する音だけが、
            わたしの耳を騒がしている。
上も、下もない。
             右も、左もない。
 
ここは無重力??
         無重力の小宇宙とは、こんなもの??
 
わたしは 「お化け魚」===???
            魚たちが、私に怯えず、近寄ってくる。
 
あれは
 いつもビールのつまみにしている、 ″かわはぎ″。
  小さなエラを懸命に動かしている。
               可愛いい・・・泳ぎ方だ。
あれは 
 魚の王者 真鯛か
  さすが、堂々とし、悠然と、静かに、じっと、浮かんでいる。
 
満月の夜の小宇宙は
  真っ黒いガンガゼ(ウニの一種)だらけ。
  海底に落ちると、あのガンガゼの鋭い針で、針のむしろだ。
 
  目の前の小宇宙を片手で、かき分けてみる。
      何かが、キラキラとキラめいている。
                小宇宙には、夜光虫が一杯!!
 
昔、人生五〇年と言った。
  人生五〇近くになって、初めて知った。
 
  私の知らない、
        もうひとつの地球が
                   あることを!!
 
 BSAC(ブリティッシュ・サブ・アクア・クラブ)のスポーツダ
イバーのライセンスを所持している(3段階目のライセンス)。
 スクーバーダイビングを始めた人が、最初にレッスンを受けるの
は自分の命を守るために最小限度必要な技術。
 
 その1は、マスククリアー
  海中で一度水中マスクを顔からはずし、もう一度顔に装着した
うえ、鼻から空気を出して、水中マスクの中の海水を押し出す。
  これは潜水中に水中マスクに海水が入っても問題がないように
する初歩的なこと。
 
 その2は、
  海底で、圧縮空気の入ったボンベを装着しているBC(チョッ
キのような浮力調整装置)をいったんはずし、再度、自力で空気ボ
ンベ付のBCを装着する。
  これは、潜水中にBCが海水中の藻とか何かに絡まっても自力
で脱出可能にするため。
             その他いろいろある。
 
三 
 このような初歩的な技術については、インストラクターが見本を
見せて教えてくれるものの、なかなかインストラクターのようにス
ムーズにできない。
 マスククリアーに関して言えば、鼻から空気を出さなければなら
ないのに、殆どの空気を口から出してしまう結果、海水を思うよう
に水中マスクから押し出すことができない。
  BCの脱着に関していえば、脱着動作中に身体が海底から若干
浮いてフワフワし、なかなかうまくできない。
 
  インストラクターはいとも他間単にするのに!!
 
 ちょっとした知識があれば、簡単にできる。
 
 マスククリアーに関して言えば、「自分の舌を門歯の内側に押し
あてるようにしたうえ」鼻から空気を出す。
 たった、これだけのこと。
 「自分の舌を門歯の内側に押しあてる」ということは自分の舌で
自分のロを閉鎖することになる。口から空気は出ず鼻から空気が出
て、マスククリアーが上手にできる。
 
 単純、簡単なこと。
 
 BCの脱着に関していえば、脱着動作をするときには、自分の肺
の中の空気を吐きながら行うと身体がフワフワ浮くことはない。
 初心者は恐怖心からか、自分の命の絆である空気を肺一杯に吸い
込んで脱着動作をしょうとしてしまう。肺に空気を吸い込むと、肺
が浮き袋となり身体が浮きぎみとなるから脱着動作が難しくなる。
 
 単純、簡単なこと。
 
 上手な人は初心者に対し、「出し惜しみ」をすることが多く、
     このような単純、簡単なことを決して教えてはくれない。
 できない初心者の目の前で、
        上手な自分の動作を反復して見せるだけ。
 
 どんな世界においても、「出し惜しみ」などはせず、
                「吐ききる」まで、出せばいい。
 
 出しても出しても、貴方の知恵と能力が尽きることはないのだから
 
 貴方の世界を誰も、浸食などできるはずがないのだから。
 
   安心をし!!
 
     知恵と能力がない人が、出し惜しみするだけだから!!
          安心をし!!
あなたは、大丈夫よ!!
                         大丈夫よ!!