計算法「過信は問題」,,2018年3月23日朝日新聞朝刊某地域版
なぜ,裁判所は県警の逆算を退けたのか。
ウィドマ−ク法をめぐる訴訟の代理人を務めたことがある服部廣志弁護士は,ウィドマ−ク法の欠点を指摘する。
服部弁護士によると,ウィドマ−ク法はアルコ−ル濃度が時間経過とともに直線的に減っていく実験結果が元になっている。しかし,アルコ−ル濃度が非情に少ない段階では,直線ではなく緩やかな曲線に変わる。このため体内に残る微量なアルコ−ル濃度を元に数時間前のアルコ−ル濃度を逆算しても,その数値は正確ではないという。
服部弁護士は,県警が男性から検出した呼気リットルあたり0.05ミリグラム未満のアルコ−ル濃度を元にしたことに無理があるとみる。もともとウィドマ−ク法は逆算を想定していないといい,現在,他に逆算に適した方法もないという。
ウィドマ−ク法は,自己現場から立ち去り体内からアルコ−ルが抜けた後に出頭する「逃げ得」を防ぐ方法として取り上げられてきた。
しかし,服部弁護士は,「飲酒運転を厳しく取り締まることは意義深いが,単純な計算式であるウィドマ−ク法を過信することは問題がある」と指摘する。