アンバランスな12歳 東京新聞特報欄
          (asyurabbs-ml77803投稿者クウスチョンより、全文転載)
 
 すべての基準が金、金、金。それで人間の価値が判断される世の中なのだから、この少女の「ある小学四年の女の子は、男に『荷物運ぶのを手伝ってくれないかな』と声をかけられ、ビル内の物陰でレイプされた。診察したが、うなだれる両親の横で、被害者の少女は、そんな重大なことをされたとは思わないのかあけっらかんとしている。別の中学二年女子は『五万で自分が売れるということは、自分にそれだけ価値がある』と喜んでいた」と言う反応も驚くには当たらないのかも知れない、、。
 
 女性向け雑誌に書いてある関心事は要するに「ブランド」(煎じ詰めれば金が基準)、何処に住んでいて(住める住めないを決定付けるのも究極は金)、どこの学校を出て(入るのも言ってみれば資金力、出れば出たで収入の元)が「素敵な人」の基準だったりする。昔は、小学校しか出ていなくても腕だけは誰にも負けない職人とか、子どもなら、たとえ勉強は出来なくても、ベーゴマが上手くて尊敬されたなんてのはもうないのだろうね。
今は、どんなにゲームソフトをたくさん持ってるってか?それも煎じ詰めれば元は金だ。
 
アンバランスな12歳
 
心は“少女” 体は“大人” 
 「いいバイトがあるんだ」。自殺した男性(29)の言葉に誘われ監禁されたのは、小学六年生の少女たちだった。だが小学生といっても少女たちの成長は早い。心は“子ども”でも体は“大人”に近い。悪質な風俗業者の被害に最も遭いやすい時期でもある。アンバランスな“プチエンジェル”たちを社会はどう守るのか。
 
低年齢化する性絡みの事件
 
 少女四人が監禁された東京・赤坂から近い元麻布にある赤枝六本木診療所は、性感染症にかかった少女らの“駆け込み寺”だ。赤枝恒雄医師(59)は連日、少女たちの診療にあたる一方、出張相談も行う。最前線の実態を聞こう。
 
 赤枝氏は「一、二年前から援助交際の主役は、小学生に移りつつある」と言い切る。
 
 「二年前までは、中学生が援助交際の中心だった。『高校生はバイトでお金を稼げるけど、中学生には援助交際しかない』という理由だ。援助交際する小学生の言い分を聞くと、一、二歳しか年の違わないお姉さんが中学に入った途端、『きれいに着飾って輝いて見えた』という。『中学生と一緒に遊びに行くと、自分がみすぼらしく見えて恥ずかしくなる。着飾るためにお金が欲しかった』と動機を語っている」
 
 年上の“お姉さん”にあこがれる小学生の成長の度合いは、一段と早まっているのか。
 
 赤枝氏は「発育のいい子は、小学五年になると生理が始まる。妊娠出産も可能な状態で、体は立派な女といえる」と話しながら続ける。「最近はエステに通う小学生も増えている。体格も良くなっているし、外見では小・中・高校生の区別がしにくくなっていることも、性対象の低年齢化に拍車をかけている」とみる。
 
 「エッチ系はなしだよ」
 「一緒に食事すればお金をあげるよ」
 
 監禁された少女の一人が持っていたチラシに書かれてあるという誘い文句だ。
 
泣き寝入り多く「氷山の一角だ」
 
 「電話ボックスに張ってあるチラシで知ったという子が多い。性衝動ではなく興味本位でテレクラなどに電話をかける。『一緒にお茶を飲むだけで〇万円』という話を聞いて、自分が“商品”になることを知っていく。少女は、実際に大人と会って話すと親近感が芽生え『いいおじさんに見えた』と話す例が多い。大人が子どもをだますことは簡単で、“合意の行為”になってしまう」
 
 興味本位で誘いに乗り、事件に巻き込まれる。少女たちが性犯罪被害に遭う典型的なパターンだ。
 
 赤枝氏は「今回の事件はたまたま発覚した“氷山の一角”だ」と指摘した上で、過去の事例を明かす。
 
 「ある中学二年女子は、渋谷のブルセラショップで個室に入り下着を売った。その店の個室にはマジックミラーがあり、外部からは女の子の容姿が見える仕組みになっている。好みの女の子の下着や排せつ物を指定して買い取る。その中学生の顔を覚えた男が、店の前で待ち伏せし、つけ回してレイプした。『パンツなんか売って学校に言うぞ』と脅され、泣き寝入りするケースがほとんどだ」
 
 「ある小学四年の女の子は、男に『荷物運ぶのを手伝ってくれないかな』と声をかけられ、ビル内の物陰でレイプされた。診察したが、うなだれる両親の横で、被害者の少女は、そんな重大なことをされたとは思わないのかあけっらかんとしている。別の中学二年女子は『五万で自分が売れるということは、自分にそれだけ価値がある』と喜んでいた」
 
対応が事件に追いつかぬ行政
 
 “最前線”では、すでに親の想像をはるかに超えた状況にあるようだ。
 行政はどう対応するのか。
 
 文部科学省の担当者は「今は状況確認している。長崎と沖縄であった事件については、二十二日に予定している全国教育長会で、問題行動についての一斉点検などをお願いするが…」と相次ぐ事件に対応が追いつかない様子だ。東京都教育委員会も「各区市の校長会で、生活指導を担当する校長を緊急で集め話し合いを始めた段階だ」という。
 
 「性教育を創る」「性の授業」などの共著がある千葉県の小学校教諭、松本徳重氏が現代の少女たちの実像を説明する。
 
ガラスの友達関係
 
 「少女たちは、群れているようでも、『ガラスの関係』だ。お互いを傷つけたり、壊したりしないように気を配る。相手を思いやるでもなく、心を割ってぶつかり合うこともない希薄な関係だ」
 
 さらに「希薄な関係の中では、グループを組んでいても、一人の興味に、みんなが引きずられてしまう傾向がある。特に性に関する興味が強いころで、そちらに関心を持つ子がいると、みんなもそちらに向く。例えば一人が『渋谷へ行こう』と言うと、『いやだ』と誰も否定できない。関係は壊したくないので、善悪の判断をせずに一緒について行く」と話す。
 
家庭が育てる善悪の判断力
 
 同時に松本氏は「子どもが自分で善悪の判断できるかどうかは、家庭で子どもと、どんな話をどれくらい話しているかが関係してくる。子どもに家事を分担させる時、『これをやりなさい』とだけ言って、ただやらせて済ませているのか、親子で何ができるか話し合って、決めるのとでは違う。テレビを見ている時でも、お互い黙って見ているのと、親が自分の意見を言ってみたり、子どもの感想を聞きながら見ている家庭の方がいい」と家
庭の役割を重要視する。
 
 「性と健康を考える女性専門家の会」副会長で、「ふれあい横浜ホスピタル」産婦人科の早乙女智子医師は「十二歳のころの女の子は、体の発達に比べ、心が追いついて成長しきれていない非常にアンバランスな時期だ。アンバランスの結果、『こういうことになるとは思わなかった』という事態になることが多い」という。
 
「禁止だけでは隠れてやる」
 
 早乙女氏は「性については、成長の一つのステップとして親子で話し合って『うちではここまでOK』と決める。管理し、押さえつけるだけだと、親に隠れてやる。携帯電話を持つことについても、渋谷に遊びにいくことについても、ただ与えたり、禁止するだけでなく親子で話し合う。会話があって、つながりを保ち続けられれば大丈夫だ」と親子間の対話強化を提案する。
 
 一方、前出の赤枝氏は「今回の事件の被害者の一人が『私も悪かった』と語っているのが悲しい」と言いながら、過酷な体験に衝撃を受けている少女たちに、言葉を投げかけた。
 「『君は悪くない。きちんと正しい情報を教えなかった親や先生、少女を性商品として使う社会が悪い』と言ってやりたい」
 
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東京小6女児4人監禁事件の犯罪心理
子どもを犯罪から守るために
                (asyurabbs-ml77823投稿者エンセンより、全文転載)
 
 03.7.13東京渋谷で、遊びに来ていた小学校6年生の女の子4人が、誘拐監禁されました。犯人と見られる男性は、良いアルバイトがあるなどと言って少女たちをだまし、誘拐。手錠をはめ、監禁しました。
 
 4日後の7.17、少女の一人が自力で逃げだし、4人全員が保護されました。男性は、室内で自殺していました。この男性は、29歳、児童ポルノの作成販売を行い、児童買春で捜査も受けていました。自殺は、当初から計画だったようです。
 
少女へ向かう心理
 
 普通の成熟した男性は、成熟した女性に性的関心を向けます。しかし、子どもに、関心を向けてしまう人もいます。
 小児性愛(ペドフィリア)と呼ばれる、性倒錯のひとつです。ストレスがたまり、大人の人間関係がうまくいかない人が多いようです。
 ところで、小さな幼児にしか性的関心をもてない人などは、かなり病的な感じがすると思いますが、中学生ぐらいの少女に性的関心をもってしまう成人男性は、残念ながら、現在の日本には大勢います。
 男性としての自身を失い、人間関係に疲れ、同世代の女性とは上手に付き合うことができず、そこで、精神的優位にたてる少女に関心が向いていきます。少女たちを、傷ついた心を癒してくれる天使のように感じる男性もいるようです。
 どこの国にも、性嗜好の異常を持つ人はいて、非合法な児童ポルノもうられているのですが、日本では、援助交際と呼ばれる少女売春が広がってしまったように、少女を性の対象としてしまう男性が特に多いように感じます。そのような社会の中で、今回の事件は起きてしまいました。(日本の中年男性が、特に疲れているのかもしれません。今、中年男性の自殺や犯罪が増えています。)
 
被害者の心 
 
被害者の女の子達は、どれほど怖い目にあい、傷つたことでしょうか。そして、保護された直後、「自分達も悪かった」などと何回も言っています。
 だまされた自分が悪かった問うことでしょうか。子どもだけで渋谷に遊びに来たことを後悔しているのでしょうか。あるいは、男性に何か吹き込まれたのかもしれません。
 もちろん、被害にあわないために注意しましょうという教育は必要です。しかし、それとこれとは、別の問題です。犯罪において、悪いのは加害者であり、被害者は責められるべきではなく、保護されるべきです。
 多くの犯罪被害者が、不当に自分を責めてしまいます。自分を汚れたもの、無力で無価値なものと見てしまうこともあります。
 今回のような事件だと、周囲から不当に責められることもあるかもしれません。
 
ある少女の例
 ある少女が、ある学校の帰り道、登校路を少し離れた道で、性被害にあいました。客観的に見れば軽微な事件です。しかし、少女は激しく傷つきます。自宅に戻り、たった一人で、がたがたと震えていました。
 夕方になり、母親が戻ってきました。子どものただならぬ様子に、母親は驚き、娘に問いただします。
 小さな少女は、やっとの思いで、蚊の鳴くような細い声で、何が起こったのかを話しました。
 事情を知り、驚き、慌てた母親は、思わず言いました。
「どうして、そんな道を通ったの」
 決して、娘を責めたり、怒ったりするつもりではありません。娘を心から愛しているのです。娘のことを心配し、何とかして被害を防げなかったのかと感じたのです。そこから出た言葉でした。
 母親は100パーセントの善意で、まったく悪意はないとしても、この言葉はやはり本人を傷つけます。ただでさえ自信の失い自分を責めている本人が、そんな道を通ったことを非難されている、犯罪被害を受けたのは自分自身のせいだと、なおさら感じていますのです。
 少女の話をじっくり聞いた上で、声をかけるなら、こんなふうに声をかけたいと思います。
 「辛かったね」「怖かったね」「よく話してくれた、偉かったね」「よくばんばったぞ」「あなたはちっとも悪くない」
(通学路を離れないよう死する、人通りの少ないところは一人では歩かないといった指導は、別の機会にすべきです。)
 
被害を防ぐために
 
 キャロル・コープは「子どもは35秒でだまされる」と語っています。(『変質者の罠から子どもを守る法』人間と歴史社)
 大人は子どもに、知らない人について行っちゃいけないよ、怪しい人には気をつけなさい、と教えます。この教えは、正しいことです。しかし、犯罪者達は非常に巧みです。そして、子どもをだますことは、難しいことではありません。「35秒で」というのは、比ゆ的な表現ではなくて、実際の話です。
 道を聞いたり、落し物を探すのを手伝って欲しいと頼んだり、彼らは子どもと仲良くなることがとても特異です(長崎の事件のように)。とても善良そうに見えま。ほんのわずかな時間で、小さな子どもから見れば、もう知らない人ではないし、怪しい人などではなくなってしまいます。
 子どもがもっと大きくなれば、だまし方ももっと手の込んだものになります。幼い子には、「お菓子を上げるからおいで」と誘うでしょうが、大きい子には、もっとその子にとって魅力的なものを使います。
 (今回の事件のように)良いアルバイトがあるよと、誘うこともあれば、子役のオーデションを受けないかと誘うこともあるでしょう。
 様々な危険なワナが待っていることを子ども達に教えなければなりません。
 
 しかし、子どもを怖がらせ、不安にさせればよいわけではありません。そんなことをしても、子どもの幸せにはつながりません。
 多くの大人は、子どものことを守ろうとする良い人たちだ。しかし、ごく一部に危険人間もいるのだということを理解させねばなりません。人を信じ、人に親切にすることは良いことだ。しかし、自分を守り、より良い社会にしていくために、人間関係にはマナーがあり、ルールがあることを教えていきましょう。
 
 そして、被害を未然に防ぐためにも、傷ついた心を癒すためにも、子ども達が自分の気持ちを素直に話せるような、雰囲気作りを、親や教師がしていかなければならないと思います。