虚業騒動の教訓と興味
大阪弁護士会所属
弁護士 五 右 衛 門
門外漢の、勉強がてらの、感想綴り!!
これは今回の虚業騒動のみならず、上場会社一般への教訓でもある。
普通になされる粉飾決算の主たる方法は、棚卸し資産の架空計上、架空評価計上などであったと思われるが、手の込んだ手法が用いられているみたい??
また資金の流れとその還流も、民法上の組合を利用したという点での新規着眼点が認められる。
しかし、上場企業であり、有価証券報告書を通年度にわたり公開しているにもかかわらず、その手法自体は幼稚みたい。その手法を見る限り、有価証券報告書の通年度にわたる評価、分析などは想定外であったように思える。「のど元過ぎれば、他人も忘れる」というような、通常あり得ない、その場限りの対処というような発想があるようにも見受けられる。 理由は、粉飾決算や資金の環流などを考案した部下の法的、会計的幼稚さとその幼稚さの程度を理解する能力に欠けていた指揮官の存在かな??
しかし、不思議。東証マザーズの入会審査って、なんだろう。不動産鑑定の世界においても「収益力重視」が言われているにもかかわらず、企業自体の収益力評価は皆無であったのか?? 入会審査を担当した人たちも、獲得資金の多寡のみに心を奪われ、その資金というか収益力評価という本来の企業の実体的価値の評価を失念してしまっていたのか??! 摩訶不思議??
今後、刑事裁判で争われるであろう「虚偽の風説の流布」等の有無などよりも、「資金環流の手法」や「粉飾決算の手法」、そして「株式分割と株価」、「証券取引の構造」などに興味がある。
一 当たり前だが、数期を、比較分析しなければならない。
1 数字の誤魔化しが見えてくる。
2 評価方法についての注記等に、ご注意
3 評価的資産項目にご注意−その変動、変化にご注意か
4 もとより資産の変動等(架空取引など)にご注意か
5 株主変動にもご注意か
二 時価評価の誤魔化しにご注意
1 市場は虚業を生むかも−株価はつくられるか
2 市場の時価は収益力にあらず、、、か
三 経営者の理念にご注意か
参考
証券取引法第158条
何人も、有価証券の募集、売出し若しくは売買その他の取引若しくは有価証券指数等先物取引等、有価証券オプション取引等、外国市場証券先物取引等若しくは有価証券店頭デリバティブ取引等のため、又は有価証券等の相場の変動を図る目的をもつて、風説を流布し、偽計を用い、又は暴行若しくは脅迫をしてはならない。
四 報道された粉飾の手法
1 自社株売却益のサイト収入への付け替え
2 自社株売却益の売り上げ計上
3 傘下会社の預金の付け替え――の3ルート
要するにデタラメであり、およそ上場会社のすることではなく、コンプライアンスの欠片もないと表現すべきか。
こんな手法に税理士資格を持つ者が関与していたという報道である。